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中芸地域に暮らす人々の記憶に刻まれた「生きられた歴史」をウエブサイトで公開!


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皆さん、こんにちは!!
高知大学地域コーディネーターの赤池です。

2017年4月、中芸5町村(奈半利町、田野町、安田町、北川村、馬路村)が申請していたストーリー「森林鉄道から日本一のゆずロードへ:ゆずが香り彩る南国土佐・中芸地域の景観と食文化」が、文化庁の「日本遺産」に認定されました。四国では3番目、単独では四国初となる快挙を成し遂げました。申請にあたり、中芸のゆずと森林鉄道日本遺産協議会(以下、協議会)が中心となり、自治体の枠を越えて住民や地域団体、自治体職員等が一致団結して地域の歴史・文化そして魅力を一つのストーリーにまとめあげました。日本遺産申請を契機として、様々なステークホルダーが顔を合わせ、地域の魅力を考え抜いたプロセスは中芸地域の大きな財産だと考えています。今後、日本遺産を活用した中芸5町村の更なる飛躍が期待されています。

私たちは日本遺産申請に関連する事業やインタビュー調査に取り組むなかで、いくつかの課題があることに気づくようになった。その1つが、中芸地域に暮らす人たちの「生きられた歴史」をいかに描き出すか、という点であった。日本遺産に認定されたストーリーで描かれている中芸地域の特色や魅力は、中芸地域で生きてきた人たち、生きている人たちが営んできた日々の暮らしに根ざしたものである。その暮らしぶりは、同じ地域で暮らしているといっても、世代や性別、生業や仕事、生まれや育ち、これまで経験してきたことによって違いもある。それぞれの人たちの個別具体的な経験に根ざした「生きられた歴史」は、共通するところをもちながらも、実に豊かな多様性をもっている。しかし、限られた紙幅のなかで、「地域」の魅力を語ることに主眼を置いて書かれたものである日本遺産認定ストーリーは、その性格上、生きられた歴史の共通する部分を抽象して描かれたものであり、多彩に語られる個別具体的な経験はどうしても捨象せざるを得なかった。この人びとの「生きられた歴史」をいかにすくいあげ、それによって日本遺産ストーリーをどのように肉づけしていくか。このことが課題として浮かび上がってきたのである。


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私たちは日本遺産のストーリーには十分に描かれていない地域住民の個別具体的な経験に根ざした生きられた歴史を「サブストーリー」として位置づけ、それを聞き取るインタビューを活動の中心に据えることを決めた。インタビュー調査では、中芸地域にお住まいの延べ80名を超える方々にご協力をいただき、森林鉄道が走っていた時代から廃線前後までの間、個人の体験から社会の変化を捉えることを目的としています。中芸地域で生まれ、生きてきた時代について訊ねることで、今では目にすることはできない人々の営みが垣間見えてきました。鋸で伐木作業をしていた頃の森の静寂。杣夫達が共同生活を送った飯場の風景。通学時の森林鉄道車内で見かけたきれいな女性の横顔など。どれもみな中芸地域を巡るとき重ね合わせてほしい人々の記憶である。私たちは、このような中芸地域の人々の体験、いわば「サブストーリー」を発掘し、日本遺産のさらなる魅力の向上につなげていきたいと考えています。ここでは、公表許可を得た16名の「サブストーリー」を紹介します。



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